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書籍の紹介 -臨床- 20231023
独断と偏見に基づく、ER診療や内科診療に役に立つ書籍と解説です。初期・後期研修医のみならず、10年目以上の先生方の診療のブラッシュアップにも役に立つかと思います。尚、”セッティング”は、それぞれの書籍が役に立ちそうな診療セッティングを記載しています。
- 書籍編
京都ERポケットブック 第2版
ER診療の基本の知識が詰まった良書。特に初期対応に特化。使い方としては、通読して何処に何が書いてあるかの引き出しを作っておいて、当直の際に症例ごとに確認するのが良いかと思います。指導医の先生にとっても、フローチャートなどの図表が多く、初期研修医に指導する際にも、本を一緒に見ながら説明すると指導がしやすいかと思います。
セッティング:ER初期診療
ICU/CCUの薬の考え方、使い方 ver.2
2015年の本ですが、今でも基本は変わらないと思います。特に、急性期の静注薬の使い方と薬理が整理されていて勉強になります。ICU治療薬の基本知識の整理に。
セッティング:救急病棟、ICU、CCU
ICU思考のつくりかた
ICUもしくは救急病棟で遭遇する重症患者さんの診療の”診かた”がわかる本。どういう思考やロジックで重症患者さんをマネジメントすれば良いのかが書かれた本です。”薄い”本ですが、その内容は濃く、無駄がありません。ICU・CCU診療のエッセンスの理解に是非通読を。
セッティング:救急病棟、ICU、CCU
ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第3版
内科外来診療、鑑別診断のエッセンスが詰まった本。ERよりも総合内科新患外来向け(診療の時間的ゆとりがERよりもあるようなセッティング)の本。ただし、ERから総合内科外来への紹介状作成の時にプロブレムを整理して、考えられる内科的に鑑別をあげるのに使えます。さらっと通読して、辞書的に使うことをおすすめします。
セッティング:内科外来
内科レジデントマニュアル 第9版
内科症例の入院マネジメントの基本が書かれた本。common diseaseに関しての重症度判断、具体的な治療法、管理法が書かれているので、救急病棟当直等でのマネジメントの参考になります。
セッティング:ER、救急病棟、内科病棟
内科レジデントの鉄則 第4版
内科レジデントマニュアルと重複する内容もありますが、診療の際の暗黙知など、”デキる内科医”の思考が見える化された良書。一度読んでおくと、他科とのコミュニケーションもスムースに。通読して、内容を”内科の知恵”として体得することをおすすめします。
セッティング:内科病棟 (当直での急変コール)
病棟指示と頻用薬の使い方 決定版
上記内科レジデントの鉄則と一部内容は重複しますが、より具体的な病棟指示の仕方や、頻用薬の一般的な使い方、副作用の注意点が書いてあるので、本書を参考にして、自分や診療科の病棟指示のセット・パス等を作っておくと良いかもしれません。
セッティング:救急病棟、内科病棟
マイナーエマージェンシー 原著第3版
何かと困るマイナーエマージェンシーですが、この本1冊あれば、ほぼ困らないかと思います。また、一例、一例、経験した症例を本書で調べることで、ERでの診療の引き出しが増えていくのを実感できます。薄くて安いマニュアル本も良いけれど、この本1冊あれば、ほとんどの診療を網羅しているので、1冊持ってて損はないと思います。当直先での使用も踏まえると電子版がおすすめです。
英語の原著は第4版まで出ています。
セッティング:ER
骨折ハンター レントゲン×非整形外科医
非専門医としての骨折の診断、初療に関しては、この本で十分かと思います。基本を身につけた上で、あとは個別の症例で微調整すれば良いと思います。
セッティング:ER
ERでの創処置 縫合・治療のスタンダード 原著第4版
タイトル通り、ERでの創部のマネジメントに特化した本。ブロック麻酔の仕方や、縫合のTips等も記載されており、ERでの創処置での困りごとはこの本1冊で解決するかと思います。
ちょっと高いですが、十分買う価値&通読する価値あります。
セッティング:ER
- 雑誌編
以下の医療雑誌系の本は、通読よりも、気になったトピックをつまみ食いするのが良いと思います。
INTENSIVIST
年4回発行の集中治療系の商業誌。編集者には日本集中治療学会の各種ガイドラインにも関わっている先生方がいるので、内容が最新のエビデンスやガイドラインを反映しており、質が高いです。気になったトピックをつまみ食いするのが良いと思います。
尚、おすすめの特集は、INTENSIVIST Vol.13 No.1 2021 (2021年1号) 特集:循環器集中治療(Critical Care Cardiology)です。循環器疾患の急性期の治療がよくまとまっています。
セッティング:ICU、ER
Hospitalist
こちらもINTENSIVISTと同様年4回発行です。文字通り病院総合医(ホスピタリスト)向けの雑誌です。ここぞという時に頼りになる情報が満載です。特におすすめは、Vol.8 No.3 2020(特集:ホスピタリストに必要な手技)で、総合病院での当直や病棟マネジメントで必要になる手技が網羅されています。
図表も多くて、後輩の指導にも使えます。
セッティング:ER、救急病棟、内科外来、内科病棟
medicina
毎月刊行。“「いかに診るか」をコンセプトに、内科診療に不可欠な情報をわかりやすくお届けする総合臨床誌。”とあるように、内科の知識のアップデートや復習にちょうど良いです。また特集が組まれることもあり、明日の内科診療に役立つ情報を効率よくゲットすることができます。
おすすめは、心電図の特集号、”特集 不安を自信に変える心電図トレーニング 専門医のtipsを詰め込んだ50問”です。ERでの臨床にも役立つ心電図読影のTipsがまとめられています。
セッティング:ER、内科外来、内科病棟、背景知識のアップデート
日本内科学会雑誌
学会誌、読んでいますか? 色んな学会と学会誌がありますが、内科学会雑誌ほど中身と外観の質が高い雑誌はないのではないでしょうか(内科学会から何かもらっているわけではありません…)。
非専門領域の内科の知識のアップデートに最適です。学会に入っていなくても、発行から1年経過した特集はホームページから閲覧、PDFダウンロードが非学会員でも可能です。
セッティング:内科外来、内科病棟、背景知識のアップデート
その他:
研修医のアタマと心とからだ - モヤモヤ研修生活をどう乗り切るか? -
初期研修医向けの本ですが、後期研修医の先生にもおすすめします。研修生活を乗り切る暗黙知が、驚くほど体系的にまとめられている良書です。