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受講メモ RWD 20240413_3/4限

RWD 講義 第2回3/4限 20240413

講師:康永先生

テーマ:臨床課題分析と実務マネジメント 解析の進め方・結果の公表

講義の目的

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大まかなRWDの解析がわかる。結果の公表に関してのポイントが理解できる。

講義の目標

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RWDの報告ガイドラインに基づいた解析計画が作成できる。

講義の流れ

1.RWDの概要(復習) 2.RWDの応用統計 3.RWD研究の報告ガイドライン 4.課題論文の解説 5.査読コメントの書き方 5.グループ・ディスカッション

メモ

  • 18年前はRWDはなかった。レセプトデータで研究なんてできるのか?という認識であった。
  • 2024年時代は変わった。今後も隆盛する。
  • RCTを1回1回やってられない。RCTは高齢者を除外する。
  • RWD: 疾患の疫学データがわかる。臨床試験では分からない、実臨床における治療効果を明らかにできる。
  • Real World Effectivenessがわかる(Efficacyではなく)
  • 最大の欠点は、Confounding by Indicationを十分に調整できないこと。
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RWDでの統計解析の基本 1. 交絡への対応 2. 階層構造への対処 3. 欠損値への対処
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交絡:交絡への対処法 1. 限定 2. 層別化 3. 回帰分析 4. 傾向スコア分析 傾向スコア分析は、モデルの誤設定の問題、交互作用の問題を解決できる (Naiveな回帰分析は、交互作用が存在するほど、結果が不正確、Am J Epidemiol 2003; 158:280-7)
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交絡:未測定交絡に関する調整方法 - 高次元系高スコア:病名、検査、処置コードを網羅的にモデルに入れて傾向スコアを求める - 操作変数法 - 不連続回帰デザイン - 感度分析 E-valueの他に array approach、rule-out approach、E-value 時間依存性交絡への対処 - 交絡因子が時間によって変化して、治療の意思決定も時間と共に変化していく場合、この交絡を時間依存性交絡という。周辺構造化モデルが必要となる。
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階層構造: マルチレベル分析 混合効果モデル、一般化推定方程式
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欠損値: 完全ケース分析はバイアスを用いる(欠損値のメカニズムがランダムでない場合が多いので) 多重代入法(Multiple Imputation)が必要となる
Rubin’s ruleなどでの補完 RWDでも欠損値に対しての対処が必要
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報告ガイドライン STROBEのExtension:RECORD 日常的に観察され収集される診療情報を用いた研究の報告基準
  • RWDのための報告ガイドライン
  • データベースの内容と妥当性、データ収集された元々の理由などの情報を提供する必要性あり。
(あくまで報告ガイドラインなので、完全に沿ってなくても大丈夫だが、これが当たり前になってきている。)
  • 対象者の選定に用いたコードやアルゴリズムを明確に記載すべき、妥当性研究がある場合には、引用すべき、妥当性研究の中で実施され、他で公表されていない場合は、詳細な方法と結果を提供すべき。
  • データクリーニング方法に関しても記載が必要。
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欠損値と交絡に関しての記載 欠損値に関しては、STROBEに明確に書いてある様に記載が必要。 交絡因子に関しては、調整前後の値を記載必要。交絡因子が何故調整されたかを明確にする。 連続変数のカテゴリー化されている場合はカテゴリーの境界も報告する理由がある。カテゴリー化した理由は必要。先行研究に準じたもしくは臨床的に説明できるものであれば問題ない。
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Limitationの記載 バイアスの方向性を臨床的に検討することが重要。 -バイアスがあった場合に、臨床的にどの方向に結果が傾くかを考える。 -RECORDには明確に、誤分類によるバイアス、未測定の交絡因子、欠損データ、時間によって変化する適格性についての議論を含めること。
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解釈(Limitation) ・”慎重で総合的な結果の解釈を記載する必要性がある”と明記。

査読コメントの書き方

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査読者の心得 7箇条
  • 私情を挟まない!
  • 建設的・教育的コメントに徹するべし!
  • アラ探しをするな!
  • Limitationを許容する!
  • 品位と礼節を保つ。
  • 自己流を押し付けない。
  • 背伸びしない(生半可な知識をひけらかさない)。
「RCTじゃないからダメ!」ではない。

感想

  • STROBEの項目を改めて確認できて理解が深まった。またRWDに特化したRECORDの内容も確認できたため良かった。
  • 臨床系の論文で”メカニズム”に関する査読をされることがあり、基本的にはメカニズムは、ファンタジー(妄想)の世界で、目の前のデータからは断言できないので対応に困る。よく基礎系の論文の結果を持ってきて、biological plausibleと述べている論文があるが、やはり、臨床研究なので、目の前のデータから言えることのみに言及することが査読対応としては正解なのだろうか。

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