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Decision Fatigue, 決断疲れ

-状況要因に起因するDecision Fatigue(決断疲れ)を軽減する-
救急外来(特に救命救急センター)では, 限られた時間の中で, 次々と決断を下さなければならず, Decision Fatigue(決断疲労)が生まれます. 精神的疲労が意思決定の積み重ねによって引き起こされている場合, 最善の防御策は, その意思決定の数を減らすことです.
NEJM Jouranal Watchの過去のブログ(NEJM Journal Watch. Fighting Decision Fatigue. 2016.)では, 解決策として下記の4つが重要であるとされています. これらを意識し, 積極的に決断疲れを軽減することが, 診断エラーの克服になるかもしれません.
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Decision Fatigue(決断疲れ)を軽減する4つのTips
  1. Delegate Decisions: 決断を委任する
  1. Decide and Commit: 決定をしてコミットする
  1. Plan in advance: 事前に計画する
  1. Take a Break 休憩をとる
 
  1. Delegate Decisions: 決断を委任する

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代理決定 (Chat GPT 訳) 決定の積み重ねから精神的疲労が生じる場合, その数を減らすことが最良の防衛策です. 私は, 患者のベッドサイドで多くの時間を過ごし, 患者の状態について広範な洞察を持つ素晴らしい看護師と一緒に仕事ができるという贅沢があります. 二つの選択肢が医学的に等しく, 禁忌がない場合, 最終決定を患者の看護師に委ねることができます. 薬剤師, 栄養士, 言語療法士、理学療法士(他多数)も, 決定の負担を減らすための素晴らしいリソースです. チームが統一された計画を持っている限り. それを実現する道のりはスタイルや好みの問題かもしれません.
チーム医療が大事ということですね. 自身(医師の立場なら医師、看護師の立場なら看護師)が決定しなくても良いことは自身が決定しなくても良いということです. また, 専門診療科の医師が決定すべきことは専門診療科にお願いしても良いのかと思います. 急変患者に出会った際に, 人(先輩医師や急変医強い救急医やICU医師)を呼んで助けを求めることも代理決定の一つかと思います.
 
  1. Decide and Commit: 決定をしてコミットする
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決定してコミットする(Chat GPT 訳) 必要な情報がすべて揃ったら, 決断を下してください。新しいデータが入ってこない場合, 決断を先延ばしにすることは精神的なリザーブにかかる負担を増やすだけです. 選択を行い, それに固執し, 新しい情報が得られたら再評価することができるということを知っておいてください.
「診断がよくわからない, もうちょっと考えてから, 上司に相談しようかな…」,「画像まで出ているけど, COVID-19とインフルエンザも検査結果が出ていないからな…総合内科入院で良いと思うけど, 検査結果が出てから相談しようかな…」というシチュエーションがあるかと思いますが, 待っている間にERが大混雑, 結果, 患者さんのER滞在時間が長くなるということもよくあることではないでしょうか. 現時点で出ている結果である程度判断がつくのであれば, その時点で, 決断(上記の上で言うと上司に相談や総合内科医師に相談)して良いのかと思います. もちろん, 検査結果が完全に揃っていない場合は, そのことを共有する必要性はあります.
 
  1. Plan in advance: 事前に計画する
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事前に計画する(Chat GPT 訳) 可能性のある結果や合併症に対する緊急計画を用意しておいてください. 事前に決断を下し, ストレスが少ない状態で計画を明確にしておくことで, 緊急の必要性が生じた場合に備えることができます. お勤めの機関に適切なプロトコルがある場合は, その場で解決策を再発明しようとするのではなく, それらを使用してください.
帰宅指示書(頭部外傷注意書, 縫合処置後の注意書)や, 診断に対しての入院セットオーダー(クリニカルパス含む)を揃えておくと, 診療の負担が軽減します. また必要な説明内容や, 処置記録のテンプレートを用意することも一助になります.
 
  1. Take a Break 休憩をとる
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休憩を取る(Chat GPT 訳) 行動から離れることが可能なら, その機会を利用してください。疲れている, 空腹であることが決断を難しくするという強い証拠があります. 食事の有無にかかわらず, 休憩を取ることは、判断疲労を改善する可能性があります.
これは, 忙しい中は難しいかもしれませんが, 少し外の空気を吸ってみる, トイレで人休憩, 休めるのであればソファで仮眠をとるなども役に立つかと思います.
 
スタッフ目線では, 1-4を実施するには, やはり職場の関係性や, 労務管理, 環境調整が必要だと思うので, 働きやすい環境を作るために尽力したいところです.