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0/1アルゴリズム
日本循環器学会(JCS)ガイドラインから日々の臨床に役立つTIpsをピックアップ!
Tips: 急性冠症候群で明らかなST上昇がない時のアルゴリズムを理解しよう。
🧑⚕️救急外来ではよく、STEMI_STE-ACS(ST上昇型急性心筋梗塞)じゃないけれど… どうしようか…と(色んな意味で)葛藤、悶々とすることはあるかと思いますが、そういう時は後述する0/1もしくは0/3アルゴリズムを使用しています。もちろん、TIMIリスクスコア等にあるような冠危険因子と症状からすぐさま循環器内科コールすることもありますが、ACSを発見するための一つの武器として、知っておいて損はないでしょう(臨床では白黒はっきりつかないことは多く、グラデーションの世界なので、侵襲性のあるカテをゴールドスタンダードとすると心カテの検査前確率を上げるもしくは下げることは重要かと思います(…カテは採血と同じだ!閾値を高くするな!というご意見には部分的にagreeです)。
以下ガイドラインより:
急性冠症候群を疑う患者では,診断・治療方針の決定・リスク評価のために心筋バイオマーカーとしてすみやかに心筋トロポニンを測定する(心筋トロポニンの測定は高感度測定を推奨する).ただし,ST上昇型急性心筋梗塞患者では,採血結果を待たずに再灌流療法の適応について検討する.非ST上昇型急性冠症候群患者では,初回心筋トロポニンの上昇がない場合でも症状出現から6時間以内では判断が難しいので,初回検査から1~3時間後に再度測定する.ただし,現状では心筋トロポニン測定を定性で行っている施設もあり,その場合には再検は症状出現後6時間以降に行う.急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)JCS 2018 Guideline on Diagnosis and Treatment of Acute Coronary Syndrome
🧑⚕️高感度トロポニンI/Tが簡単に検査できるようになってからは、トロポニンが微増していたり、もしくはちょっとACSっぽいけどトロポニンnegative!ということはあるかと思います。そんな時は、ガイドライン通り、下記のアルゴリズムに従い、1時間後(0/1アルゴリズム)もしくは3時間後(0/3アルゴリズム)に再検して判断することを日常診療でもやっています。0/1アルゴリズムと0/3アルゴリズムに関しては時間があるときに追記しておきます。
- ST上昇

急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)JCS 2018 Guideline on Diagnosis and Treatment of Acute Coronary Syndrome
🧑⚕️とはいえ、トロポニンが全く変化がない、上昇なしだとしても、症状経過から急性冠症候群が否定できないのであれば、リスクで層別化してのマネジメントが必要です(図2参照)。とはいえ、低リスク症例でも、診断がはっきりしておらず、ACSが否定できない場合は、循環器内科に相談することが多いです。とはいえ、その際に、こういったアルゴリズム等と理解しておくと、循環器内科とのコミュニケーションも円滑になるかと思います。

🧑⚕️循環器や救急を長年やっていると、第6感(所謂system1)が洗練されてくるので、症状等から「ほらやっぱり、NSTEMIじゃん!」ということが多いのですが、なかなか経験が浅いと難しいかと思います。また熟練でも、夜間や忙しい救急外来の現場では、いつものsystem1の診断能力が働かないこともあります。精度の高い診断をしていくためにもsystem2での診断を行うことが、見逃しの軽減、患者さんの利益に繋がるのではと思います。
まとめ
NSTEMIかどうか迷って、心電図変化もトロポニンも上がってない時は、時間をおいて、心電図/トロポニンIを再検してみる。
以上です。